リストラ(退職・解雇)
従業員の解雇・退職
「リストラ」のパートで詳しくご説明させて頂きましたが、日本では解雇の有効性が厳格に判断されますから、解雇に踏み切る際は慎重な検討が必要となります。ただ、もちろん解雇が認められないわけではありませんので、どのような場合に解雇が認められるのか、いくつかご紹介したいと思います。
正当な解雇理由例
1.社員の入院
数週間の入院で病気自体が治療可能な場合には、解雇が認められないのが通常です。
職場への復帰に予測できない程度の長期間を要するような場合には、労務提供が不能であるとして解雇できると考えられます。
また、多くの就業規則には解雇事由として「病気により●●間休業したとき」と定められていますが、その場合にはその定められた期間より短期間で解雇することは原則認められません。
なお、病気の社員を解雇する際には、労働基準法による時期の制限(→法律による解雇の制限)にも留意してください。
2.勤務態度や勤務状況の不良
ただ勤務態度や勤務状況が悪いだけでは解雇は認められません。
解雇もやむを得ないと考えられる正当な理由が必要となります。
勤務態度等の不良程度が甚だしいこと、本人に帰責されるものであること、解雇に至るまで個別の注意等の方策を尽くしたことなどの事情が満たされたときに解雇が可能となります。
3.労働能力の欠如
当該社員が一定の労働能力を有していることを想定して採用したものの実際の労働能力が欠如していたような場合、その程度如何によっては解雇しうると考えられます。もっとも、このような理由で解雇するためには、使用者としては直ちに解雇するのではなく、従業員に不十分な点を注意し労働能力向上のための援助をしたうえでなお是正されない場合に初めて解雇を行う、という配慮が必要となります。
4.経歴詐称
重大な経歴詐称があった場合には解雇しうると考えられます。
もっとも、全ての場合に解雇できるわけではありません。具体的には、以下のような点を考慮します。
- 就業規則に経歴詐称を解雇事由とする旨の有無
- 経歴を詐称した態様
- 意識的に詐称されたものであるか
- 詐称された経歴の重要性の程度
- 詐称部分と企業・詐称者が従事している業務内容との関連性
- 使用者の提示していた求人条件に触れるものであるか
- 使用者が労働契約締結前に真実の経歴を知っていれば採用していなかったと考えられるか
以上のような点からその経歴詐称行為が重大な信義則違反にあたる場合には解雇も許されるものと考えられます。
5.既婚社員による社内交際
これは、あくまで私生活上の行為で、会社業務とは通常関連性がありません。
従って、このような理由では解雇は認められないケースが多いですが、もっとも、この行為により会社の業務、あるいは信用に著しい影響を及ぼしたときには、解雇が認められることもありえます。
そのほか、会社の経営事情により従業員を削減することが必要となった場合に行う整理解雇が有効となるには、
- 1.人員削減の必要性
- 2.解雇回避の努力
- 3.人選の合理性
- 4.説明協力義務
の4つの要件(整理解雇4要件)が必要となります。
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